何度も顔を合わせていくと、
やがてなかなか人には言いにくいようなことも話してくださるようになってきました。
「去年うちに税務調査があってね・・・」
「あそこの会社は○百万の税金を誤魔化していたらしいよ」
「ほら、あそこの外にある洗濯機あるでしょう。あの中に札束入れていたらしいわよ、
まさかあれに誰もそんな大金入ってるってわからないからね」
「うちはいい加減なことしてたから3年に一回は見にくるよ」
「もう二度と調査はないと思っていい、なんて言われて
納得したけどね・・・えらい金額だったから、あの時は本当にしんどかった」
など、追徴課税があった話の一方で、
「ちょっとあなたには言わなかったけど、まずいかなと思うところがあったのね、
そこ、指摘されなかったのよねー、よかった!」
「廃業して、しかも引越ししたあと管轄違いの元の税務署から税務調査があった時は、
何か間違えたのかな?と覚悟を決めたよ。でも結局指摘箇所はなかった」
「きちんと帳簿つけているね、と税務職員から褒められた」
という話まで。
果ては、
「今度税務調査があるから、同席してもらえない?」
え?同席?
それは本当はダメらしいのです。
ただ、私は業務としてその事業者の相談業務で訪問するのであれば別です。
私は、調査の時間に合わせてお伺いすることにしました。
いくつか質問をうける中、
会計処理をしている私にも確認を求めてくることもありました。
きちんと説明をすると、指摘なく終わることもありましたが、
私の入力処理ミスが元の指摘箇所もありました。
青ざめながら依頼先であるその方へ謝罪をしたところ、
「そんなことは気にしなくていい」と笑って許してくれました。
本当は、落ち込むところなのかもしれません。
「私のミスが元で指摘箇所があった」と。
それよりも、すぐに許してもらえたことの方が数倍嬉しく感じたのです。
なんだか、今までの頑張りが認められたような気がしました。